2006年03月18日

●新技術導入における他者からの学習

Conley and Udry (2005) mimeo

ガーナのパイナップル農家が肥料を投入する際にどれだけ他人の成功、失敗から学んでいるかについての実証。

大量のフィールドワーカーを雇って村落で誰が誰から情報を得ているのかという膨大な情報と、各人のパイナップル畑の地質に関する詳細な情報を集めている。そのことによってパイナップル農家の肥料投入は他人の経験をみてそこから学習して決めているということを説得的に実証している。

他人の経験から学んでいるということは狭い共同体なのだから当然起こっているもので別に不思議でもなんでもなく驚くべき結果ではないという意見もありえるだろう。しかし、学習の存在をきちんと実証するのは非常に難しい。たとえば、Aさんが肥料をたくさん投入して収量を大幅に増やした後に、Aさんの隣の家に住むBさんが同じことをやりだした場合、BさんがAさんから学習した可能性もあるが、もしかしたら、

1AさんとBさんの土地は似たような性質を共有していたり、
2AさんとBさん似たような境遇の農家だったりして、どのみち似たような行動をとる可能性が高くてたまたまAさんの行動が先に起こっただけなのかもしれない。

そのために膨大な労力をかけて、土地や耕している人の性質を集め、コントロールし、かつ、情報フローを特定化してできるだけ反論の余地を許さないように学習の存在を実証している。

さらに重要なことに、これらの要因をコントロールしないで分析を行った場合、誤った結論を導くことも実証して、社会学習についての既存の文献からの改善の度合いが大きいことを示している。

最後に、他人の成功情報より他人の失敗情報の方が肥料投入に大きな影響を持つ結果になっているのが、興味深い。心理学的な効果が働いているのだろうか。