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    <title>論文メモ＠てって研究所</title>
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    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    <subtitle>このブログは私が読んだり，研究報告を聞いたりした論文のうち（私にとって）重要だと思った論文のメモです。開発経済学（特に産業発展論），国際経済学の最近の実証研究を主に取り上げています。</subtitle>
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    <title>新技術導入における他者からの学習</title>
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    <published>2006-03-19T04:13:11Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>Conley and Udry (2005) mimeo ガーナのパイナップル農...</summary>
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        <category term="技術普及" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        Conley and Udry (2005) mimeo

ガーナのパイナップル農家が肥料を投入する際にどれだけ他人の成功、失敗から学んでいるかについての実証。

大量のフィールドワーカーを雇って村落で誰が誰から情報を得ているのかという膨大な情報と、各人のパイナップル畑の地質に関する詳細な情報を集めている。そのことによってパイナップル農家の肥料投入は他人の経験をみてそこから学習して決めているということを説得的に実証している。

他人の経験から学んでいるということは狭い共同体なのだから当然起こっているもので別に不思議でもなんでもなく驚くべき結果ではないという意見もありえるだろう。しかし、学習の存在をきちんと実証するのは非常に難しい。たとえば、Aさんが肥料をたくさん投入して収量を大幅に増やした後に、Aさんの隣の家に住むBさんが同じことをやりだした場合、BさんがAさんから学習した可能性もあるが、もしかしたら、

1AさんとBさんの土地は似たような性質を共有していたり、
2AさんとBさん似たような境遇の農家だったりして、どのみち似たような行動をとる可能性が高くてたまたまAさんの行動が先に起こっただけなのかもしれない。

そのために膨大な労力をかけて、土地や耕している人の性質を集め、コントロールし、かつ、情報フローを特定化してできるだけ反論の余地を許さないように学習の存在を実証している。

さらに重要なことに、これらの要因をコントロールしないで分析を行った場合、誤った結論を導くことも実証して、社会学習についての既存の文献からの改善の度合いが大きいことを示している。

最後に、他人の成功情報より他人の失敗情報の方が肥料投入に大きな影響を持つ結果になっているのが、興味深い。心理学的な効果が働いているのだろうか。
        
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    <title>企業の生産性の異質性と貿易</title>
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    <published>2006-01-06T01:48:28Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>Marc Melitz. 2003. “The Impact of Trade ...</summary>
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        <category term="国際経済学" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        <![CDATA[Marc Melitz. 2003. “The Impact of Trade on Intra-Industry Reallocations and Aggregate Industry Productivity.” <em>Econometrica</em> v. 71 no. 6, pp. 1695-1725.

今まで紹介してきた論文の中にこの論文の何らかの拡張であるものが多く含まれているので、簡単に説明することにした。

国際経済学の企業レベルの定型的事実として以下のものがあげられている。

事実1：財を輸出している企業は企業全体から見ればごく一部である。
事実2：輸出を行っている企業はそうでない企業よりも規模が大きく生産性が高い。
事実3；貿易自由化によって大規模で生産性が高い企業が輸出によって生産を拡大する。
事実4：貿易自由化によって小規模で生産性が低い企業は市場から撤退している。
事実5：貿易自由化によってセクターレベルの生産性は向上している。

Melitzの論文は独占的競争の一般均衡理論に企業の生産性の異質性を導入することで、これらの事実を説明する一般的で使いやすいモデルを提供している。

モデルの設定としては、
0．参入を考えている企業が多数ある。
1. 参入前はどの企業も自分の生産性を知らない。参入するためには一定の参入コストを払う必要がある。
2. 参入後に自分の生産性を知る。その後、各企業は独占的競争状態のもとで利潤を最大化する生産量を決定する。その結果として、生産性が高い企業ほど多く生産する。また、生産にかかる固定コストもカバーできないような生産性が一定水準以下の企業は退出する。
3. 2によって算出される参入の期待利潤がゼロになるように参入時の参入コストが決定される。
4.　実際に参入が行われて、各企業が自分の生産性を知り、生産を行う企業は利潤最大化水準で生産を行う。
　　（参入した企業にとっては利潤は0でない）

ここまでは閉鎖経済の一般均衡モデルであったがここからは開放経済を考える。

4. 外国経済に参入するのには一定の固定コストがかかる。また輸送費が上乗せされる。
5. 固定コストや輸送費を払っても外国市場で利潤を上げられるような生産性の一番高い水準の企業が輸出を開始する(事実1、事実2)　これらの企業は閉鎖経済よりも生産を拡大している。(事実3)
6　他方、生産性が高い企業が生産を伸ばしたことにより生産資源をひきつけることができなくなった生産性の低い企業は市場から撤退する。(事実4)
7　結果として資源再配分の結果セクターレベルの生産性は向上している。

このモデルはいろいろな方向で拡張されている。
直接的な拡張としては
FDIの説明(Helpman, Melitz, Yeaple (2004)AER)
生産する財の数の内生化による中国における外資と国内企業の新製品導入の差の違いの説明(<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2005/11/2.html">Brambilla, mimeo</a>の紹介を参照)
代替弾力性のセクター間の異質性と2国間貿易量にもたらす含意(<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2005/11/16.html">Chaney, mimeo</a>の紹介を参照)
南北間で製品の品質に差とその途上国内の賃金格差へのインプリケーション(<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2004/11/06.html">Verhoogen, mimeo</a>の紹介を参照)

実証をする人間にとっては企業レベルのインプリケーションが出せるところが大きいです。]]>
        
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    <title>輸出財の品質を測定する方法</title>
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    <published>2005-12-07T09:10:26Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>YaleのPeter Schottの報告を聞いた。 Estimating Cro...</summary>
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        <category term="国際経済学" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        <![CDATA[YaleのPeter Schottの報告を聞いた。

Estimating Cross-Country Differences in Product Quality
(With J.C Hallack)

各国の輸出品の品質を測定する新しい方法を提唱している。輸出品の品質の変化は経済発展と重要な関係を持っているし，最近では途上国の所得格差の拡大のメカニズムにも重要な役割を果たしていることが指摘されている（<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2004/11/06.html">Verhoogen (mimeo)の紹介も参照</a>）。また日米自動車摩擦の際には，VER（輸出自主規制）とともに日本の自動車メーカーが米国向けの輸出品をグレードアップさせたと言われているので，輸出品の品質を考慮することは垂直的差別化が可能な市場に関する通商政策の分析にも重要である。

ところが実証研究では品質の測定方法が十分に満足のいくものではないと指摘されている。今までの研究では品質変化が重要な位置を占める論文でも品質以外の変数に関する含意をテストしていて品質そのものには踏み込まなかったりしているか，財の輸出価格が高いほど品質が高いとみなしていることが多かった。しかし、品質以外にも為替レートや生産コストなど輸出価格に影響する要因はあるので輸出価格=品質とみなしてしまうことには問題がある。

この論文では各国各財の貿易量と価格，セクターごとの貿易黒字と各国の為替レートのデータからセクターレベルの品質を推定する方法を提唱している。そして実際に米国の主要な貿易相手国45国に関して1980年から97年の製造業の品質の推移を推定している。その結果，中国などでは旧来の輸出価格=品質とみなしてしまう方法では品質向上を過小に評価してしまうことがわかった。

（この論文の手法はややこしいので興味のない方は以下の文は飛ばしてください。興味のある方も以下の文を飛ばして原論文にあたることをおすすめします）

（1）任意の国のペアごとに品質と品質調整済み価格(Pure Price Index)を分離していない価格指数(Inpure Price Index) （セクター単位）を算出する。このInpure Price Indexは両国でセクター内の財の価格を集計したものの比で，理論上の概念で直接は観察不可能なものなので推定する必要がある。Inpure Price Index=Pure Price Index*品質という関係が成立している。

A国でA国での価格のもとである財バンドルを消費していたのが，価格水準がB国のものに変化したと考える。このときもともと消費していたものとまったく同じものを買うときにかかる支出額に比べ，当初得ていた効用水準を達成するために必要な支出額のほうが少なくてすむはずである。このことから最低必要支出額の比とA国とB国の（パーシェ（のようなもの）価格指数とラスパイレス（のようなもの）価格指数の2つ分不等号が成立する）。セクター内の財の数が2国間で異なってもいいようになっているので話がややこしくなるが一定の条件の下でInpure Price Indexがこの2つの価格指数の範囲内に収まることが証明できる。パーシェ，ラスパイレス価格指数はデータから計算できる。そして，Inpure Price Indexを実際にハーシェ,ラスパイラス価格指数内に収まっている割合を最大化するように推定する。

（2）国,セクター別貿易黒字率を（1）（1）で推定したInpure Price Indexと固定効果，トレンド項に回帰して，そこで得られた各係数の推定値からPure Price Indexと品質を計算する。

ある国，あるセクターの貿易黒字率は標準的な消費者効用最大化の帰結として品質調整済みの価格指数(Pure Price Index)と貿易コストの関数としてあらわしうる。( 産業組織論の実証ではシェアと品質をリンクさせることがあるが，考え方としては似ている。) 　また。ある国，セクターの品質を固定効果と国，セクター固有の線形トレンドと撹乱項の3つからなっていると仮定する。そうすると，貿易黒字率を（1）で推定したInpure Price Indexと固定効果，トレンド項に回帰することで得られた各係数の推定値からPure Price Indexと品質を計算することができるようになる。Inpure Price Indexは品質への撹乱項と相関を持っていると考えられるので，為替レートを操作変数として使うことを提案している。

疑問点(おもに手順(2)に関して)
この論文では固定効果の推定量は一致性を持たないはずなのに，それを品質の計算に使うことはどこまで正当化されるのだろうか。

また，固定効果とトレンド効果の推定量(の和をInpure Price Indexの係数の推定値で割った)がそのまま品質の推定値となると，セクター別貿易黒字率の品質以外のセクター固有要因と品質向上以外のセクターの線形トレンド要因もすべて品質と計算されてしまうような気がする。マクロで貯蓄超過の国の品質を過大評価することにならないだろうか。

さらに，Verhoogen(2004)<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2004/11/06.html">紹介はこちら</a>ではメキシコでは通貨価値下落によって貿易機会が広がり品質向上がもたらされたことを主張している。もし為替レート変動そのものが品質向上へのショックとなるならSchottの推定方法のうち為替レートをInpure Price Indexの操作変数として用いる部分は正当化されなくなると思う。
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    <title>汚職は効率的か？</title>
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    <published>2005-12-05T21:13:03Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>シカゴ大学のMarianne Bertrandの報告を聞いた。 &quot;Obtaini...</summary>
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        <category term="政治経済" />
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        <![CDATA[シカゴ大学のMarianne Bertrandの報告を聞いた。

"Obtaining a Driving License in India: An Experimental Approach to Studying Corruption"

インドの自動車免許取得プロセスでの汚職に関する実験的実証研究で、
汚職は非効率なルールに対する抜け道として資源配分の効率性向上に役立っているか
という仮説を実証していた。

以前紹介した<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2004/11/19/">Ben Olkenの研究</a>などでは汚職の有無や，汚職を減らす方法
に焦点がおかれていて，汚職がそもそも悪いものかどうかは問われていなかった。

自動車免許を取ろうとしている人の中からランダムに声をかけた800人くらいを
特に何もしない(調査協力への謝礼のみ)グループ（A）
早く免許を取れたらボーナスをあげるグループ（B)
運転教習をただで提供するグループ（C)
3つに分けて、実際に免許を取るまでの期間、免許を取るまでの事務的プロセス(役人とどのようなやり取りがあったとか)、免許を取った直後の自動車運転に関する知識と技術を比べていた。
平均的な結果は、
Aグループ：最初は自分で役人と交渉するも歯が立たず途中から代理人を雇う。運転の腕前は下手。
Bグループ：最初から代理人を雇ってとっとと免許をゲット。運転の腕前は下手。
Cグループ：なまじ運転ができるようになるせいか、最後まで役人と自分で交渉して免許取得までに一番時間がかかる。運転の腕前はA,Bよりもはるかに上手。

役人に直接賄賂を渡したケースはほとんどなく(調査協力者が賄賂について語りたくないからということはないということはチェックしているらしい)、代理人が実質的賄賂の仲介者になっているらしい。結果としては、免許取得にお金をたくさん払う気がある人は早く取得できるという意味では汚職は資源配分の効率性に寄与している、そしてそれは、運転がうまくて早く免許を取るに値する人が早く免許を取るようにはなっていないことから、大事なのはあくまでお金を多く払う気があるかどうだ、ということになる。

とりあえず、AとBに関しては、免許を取っているのに60%前後の人が自動車運転に関する基本的な質問(ブレーキとアクセルの区別など)5問のうち最低1 問を間違えているとか、免許を取る前のアンケートで25%の人がすでに車の運転をしたことがあると答えているとか、代理人を雇うとほぼ確実に実地試験がなくなるとか(汚職は非効率なルール(官僚との複雑なやり取り)だけでなく必要なルールまでも曲げているということ)、いろいろショッキングなデータがあった。

代理人の存在が免許取得の手続きで決定的な役割を果たすのにも関わらず，
報告では代理人のことは実証結果の説明のところまで触れられなかったので
わかりにくかったのが残念。]]>
        
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    <title>補完性、垂直統合、比較優位</title>
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    <published>2005-11-22T09:06:37Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>ハーバード大のPol Antrasの報告。 Contracts and the ...</summary>
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        <category term="国際経済学" />
    
        <category term="産業組織論" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        ハーバード大のPol Antrasの報告。

Contracts and the Division of Labor
(with Daron Acemoglu and Elhanan Helpman)

Grossman-Hart-Moore流の所有権理論のモデルに、
(１)サプライヤーを複数にし、サプライヤーの投資間に補完性を導入し、
(２)契約の不完備性のパラメータを導入したうえで、
契約の不完備度が高くなると、分業の度合い(独立したサプライヤーの数)と生産性が減ること、特に補完性が大きい産業で顕著にその効果が現れること、結果として、契約の不完備度が国々の間の比較優位の要因になりうることを示していた。

サプライヤー間の行動、技術に補完性があるとメーカーの垂直統合の意思決定がどのような影響を与えるか
ということを明示的に分析したのはこの論文が初めてだと思われる。しかしこのモデルで説明できる現象などがあるのかどうかは不明。
        
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    <title>企業の生産性の異質性が貿易量に与える影響の実証</title>
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    <published>2005-11-16T09:04:57Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>Tom Chaney（シカゴ大）の Distorted gravity: Het...</summary>
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        <![CDATA[Tom Chaney（シカゴ大）の

Distorted gravity: Heterogeneous Firms, Market Structure and the Geography of International Trade
の報告を聞いた。

貿易を行うときの障壁が低下したときに貿易量がどれだけ増えるかは、各財の需要の代替弾力性に正に依することがKrugmanのモデルによって示されていた。代替弾力性が大きいと貿易コストの低下で輸出入品の価格が下がったときにそれだけ国内品から需要を奪うからである。しかし、その分析は産業内の企業の生産性が同質であることを前提にしていた。この論文は生産性にばらつきがあるケースでは、財の需要の代替弾力性の影響は正反対になることを示している。生産性にばらつきがあるケースでは，一部の高い生産性を持つ企業しか輸出しない。この場合貿易コストが低下したときにはすでに輸出していた企業が輸出量を伸ばす効果だけでなく，新たに外国市場に参入する企業が出てくる効果も出てくる。後者の効果は代替弾力性が小さいほど大きい。新たに参入する企業は輸出企業の中では比較的生産性が低いので代替の弾力性が小さくて市場競争が激しくないときほどより多く輸出することができるからだ。この後者の効果が大きいと，需要の代替弾力性が小さいときこそ，貿易を行うときの障壁が低下したときの貿易量拡大効果は大きいことになる。

さらに、それをGravity Equationという国際経済学で2国間の貿易量の要因を分析する際に頻繁に用いられる手法を用いて実証している。具体的にはサンプル中の任意の2国間の財ごとの貿易量をGDPや財の代替性や貿易コストの指標，およびそれらの交差項に回帰して，貿易コスト指標と財の代替性指標が正になるかどうかを実証している。

最近の国際経済学は企業の生産性のばらつきを独占的競争一般均衡分析に取り入れることで貿易に関する定型的事実をこれまでよりうまく説明できるようになったり、豊富な実証的含意を生み出したりしている。（<a href="http://tetteresearch.net/seminarpaper/2006/01/5.html">Melitz(2003)Econometricaの項目を参照</a>）この論文の貢献は企業の生産性のばらつきがどのように貿易パターンに影響するかについて新たな視点と証拠(そんなに強くはないけど)を追加したこと、よく使われる実証手法で実証できる含意を得たことだと思う。

報告者は2005に年PhDを取って就職したばかりの人だ。
論文そのものの評価とは異なるけど、大学院生の立場から見ると、偉大な古典的モデル(この場合はKrugman(1980))と最近の流行の理論モデルの双方から正反対のインプリケーションを導き出してどちらが正しいか実証するというのは、実証結果が（意味をなすものである限り）どちらに転んでもみんなが興味を持ってくれる論文になるという意味で非常に賢い戦略だと思う。理論もできるとこういう戦略が取れるということで理論をがんばる意欲が増した。]]>
        
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    <title>中国における外資企業と新製品導入</title>
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    <published>2005-11-02T09:03:03Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>Irene Brambilla (Yale)の報告を聞いた。 博士号を最近取った...</summary>
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        <category term="国際経済学" />
    
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        <category term="開発経済学" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        Irene Brambilla (Yale)の報告を聞いた。

博士号を最近取ったばかりの人だが，途上国の産業組織の研究で
面白い論文をいくつか書いている。この日は，
Introduction of New Varieties of Goods in the Chinese Manufacturing Sector
の報告を聞いた。

中国における外国企業は地元企業より新製品の導入が盛んであるということと，
その源泉が技術力の優位にあることを実証していた。

Melitz(2003, Econometrica)のモデルを拡張して、各企業の製品の数を内生化したうえで、新製品開発に関わる固定費用と開発した費用を生産するための変動費用という2種類の費用が低い（生産性が高い）企業ほど多くの製品を導入するという含意を導き出している。

そして中国に進出している外資企業は中国国内企業よりも生産性が両種とも高いと思われるので、より多くの新製品を導入しているであろうという仮説を世界銀行の企業パネルデータを用いて検証している。そして，開発のための固定費用と生産のための変動費用のどちらがより重要かを検証しようとしている。

実証結果としては
調査期間（1998-2001年）中に外資企業は中国国内企業よりも導入した数が多い，
生産関数の推定ではTFPは外資系のほうが有意に高い，
開発の固定費用も100％外資系に限れば外資系のほうが有意に低い，
外資系は自社で新製品開発を行う頻度は低く，外国(本社)から製品を移転している頻度が高い。
TFPのほうが固定費用よりも新製品導入数を説明している。
という結果になっている。

外資系企業は本社などですでに開発済みの商品を持ってこれて，生産のノウハウもあるから（中国市場にとっての）新製品導入を国内企業に比べて容易に行えるということだと思われる。

外資企業のほうが新製品導入が活発であるということを主流のモデルの拡張できちんと説明し，かつ，モデル上
重要な説明要因（開発費用と生産費用）についても実証しているいう意味で，理論と実証が密接に結びついた
研究になっている。

非説明変数によって資本ストックがコントロールされていたり、いなかったりするのですべての被説明変数ですべての定式化について言及したほうが望ましいこと、市、産業ダミーはコントロールされているが、その交差項もコントロールしたほうが望ましいことなど、実証面での細かい改善点はある。

外資（直接投資）が企業の生産性を向上させるかどうかについては多くの実証研究がされているが、成長率の高い企業に資本参加しているのか、外資の資本参加が生産性向上をもたらしているのかを厳密に識別できている実証研究は（私の知る限り）ない。（ただ、識別できていると主張して書かれたが実際にはできていないことをおそらく誰かに指摘されてそこの部分の主張を引っ込めた論文はあった。）この論文での外資企業はすべて外資系が自ら設立したか、最初から設立に参加しているものなのでこの問題の影響は小さくなっている。と同時に、この結果を直接投資一般に適用することができるかどうかについては若干の留保が必要となっている。

また，中国やインドが技術進歩面で他の途上国と異なる点は，多国籍企業によって外国から技術が移転されているだけではなくさらに新技術の開発も行われていることであると指摘されてきている。他の国での研究と比較するためには新製品導入の中身をもっと知る必要があると思われる。

あと，新製品導入が国内向けか輸出向けが分かれば途上国の技術発展についてもっと含意が得られていたかもしれない。論文の結果では輸出の規模は生産性をコントロールすると新製品導入と相関をしていないが，生産性と輸出が高く相関しているからかもしれないので，このことから直ちに新製品導入は主に国内消費者向けに行われているとは言えないかもしれない。


        
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    <title>移住することによる所得上昇効果の実証</title>
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    <published>2005-10-31T09:00:57Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>最近スタンフォードから世界銀行に移ったらしいDavid McKenzieが、移民...</summary>
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        <category term="開発経済学" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        最近スタンフォードから世界銀行に移ったらしいDavid McKenzieが、移民は移民をすることによってどれくらい所得が増えているのかという実証研究を報告していた。

&quot;How Important is Selection in Estimating the Income Gains from Migration?&quot;

このテーマ（移民による（移民個人の）所得上昇効果）で初の説得的な実証だと思う。

このテーマで説得的な実証を行うことは非常に難しい。
移民をした人間とそうでない人間の所得を単に比較しただけでは移民の効果を実証したことにならない。移民、あるいは出稼ぎをするという選択を行った個人とそうでない個人とでは特性が異なるかもしれないからだ。（データに表れない）能力やモチベーションが高い人間が移民をすることを選んでいて、そのもともとの能力やモチベーションの高さのためにより多く所得を得ているということがあると移民の効果の推定値にバイアスをもたらす（論文のタイトルの Selection Bias）。

あと，国際的移住の場合，両方の国のデータセットを用いる必要がある。同一人物をマッチングさせることができるかどうかというのも大きな問題となる。

MacKenzieらはニュージーランドがトンガから毎年200人ほど移民を希望者の中からくじで選んで受け入れていることを利用して、当たりくじを引いて移民した人と、移民したかったけどはずれくじを引いて移民できなかった人の所得を比較することによってこのバイアスを回避している。そして、これまでの研究で使われてきた手法を使うとどれほどのバイアスが生じるかを推定している。

ちなみに彼らは移民のくじに応募した人のリストを政府当局から入手して、移民しなかった人に関してはそのリストにある住所に押しかけて調査を行い、移民に成功した人に関してはその人の家族、友人らのつてを総動員してニュージーランドで草の根を分けて探し出すという国境を越えたストーカー行為を行ってデータを集めていた。こうして，データ収集の問題も克服している。

数がまだ小さいものの非常に情報量の豊富なデータセットと最高の識別戦略を手に入れた彼の鼻息は荒く、『移民の○○に対する効果』に類する実証はやり尽すと豪語していた。

おまけ
ルーマニアからの移民である某経済学者は以前、ルーマニアにアメリカ永住権のくじの申請代行NPOを作って、移民に成功した人と移民したけどくじに当選しなくてできなかった人の情報を集めようとしたらしい。しかし、アメリカ永住権くじの当選率の低さを考慮すると十分なサンプルを集めるためには、ルーマニアからアメリカ永住を希望する人のかなりの割合の人を相手にしなければならないことがわかって断念したらしい。
        
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    <title>貿易自由化と児童労働</title>
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    <published>2005-10-26T08:58:02Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:55Z</updated>
    
    <summary>国際経済学セミナーでNina Pavcnick (Dartmouth)の報告を聞...</summary>
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        <category term="国際経済学" />
    
        <category term="開発経済学" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        国際経済学セミナーでNina Pavcnick (Dartmouth)の報告を聞く。彼女は貿易と産業調整、貿易と労働のトピックに関してミクロデータを駆使して精力的に論文を書いている。今日の論文は、インドの90年代の貿易自由化が児童労働に与えた影響の実証分析。
Trade Liberalization, Schooling, and Child Labor: Evidence from India
(joint with Eric Edmond and Petia Topalova)

関税がより大きく下落した財をより多く生産している地域は、関税下落によって以前より厳しい国際競争にさらされたと考えられる。この研究はそうした地域はほかの地域に比べ、通学率の増加が小さく、児童労働の減少幅が小さいということを実証していた。

注意すべきは、輸入財と競争するセクターで（生産下落を通じて）児童労働に対する需要が増えたということを意味しているだけであって、貿易自由化が国全体で見て児童労働を増やしたとは言っていないということだ。インド全体では90年代を通じて通学率は大幅に上昇、児童労働は大幅に減少している。
（でも、反グローバリゼーションの論者には好んで引用されるようになるかもね…）

報告者本人が貿易自由化全体での効果を測っているのではないといっているにもかかわらずセミナー参加者の何人かは執拗に一般均衡モデルでないこと、貿易自由化全体の効果を出していないことにこだわっていた。

ちなみに彼女らは、ベトナムでも貿易自由化と児童労働の関係を分析していて、そこでは、米作農家にとっては生産者価格が統制国内価格から輸出価格に上昇し、生産が拡大した結果、児童労働が著しく削減されたことを示している。(注)

「ベトナムの実証の時はどこで何回報告しても誰にもモデルが一般均衡でないとか貿易自由化全体の効果はどうだなんて言われなかったのに…」と報告中文句を言っていたのが印象的だった。

国際経済学者(の多く)は、
貿易自由化のメリットの実証の際には、部分均衡モデルでもモデルがなくても、
貿易自由化全体の効果を測っていなくてもOKだが、
貿易自由化のデメリットの実証の際には一般均衡モデルを求めて、
かつ貿易自由化全体の効果を測っていないと突っ込みたがることがわかった。

(注)その仕事の一部についてはNYTの記事(2005年7月14日)が紹介している。
ECONOMIC SCENE; Research Changes Ideas About Children and Work
あと、バグワティの最近のグローバリゼーション本『グローバリゼーションを擁護する』の児童労働の章でも言及されている。が、次にバグワティがグローバリゼーション擁護本を再び書く時今日の論文は言及されるだろうか？

        
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    <title>垂直的合併はライバル企業のコストを高めるか</title>
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    <published>2005-10-04T08:55:24Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:56Z</updated>
    
    <summary> UCバークレーからGilbertが来て報告。 &quot;Market Power, V...</summary>
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        <category term="産業組織論" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        
UCバークレーからGilbertが来て報告。

&quot;Market Power, Vertical Integration, and the Wholesale Price of Gasoline.&quot; 

産業組織論では企業がライバル企業の直面する中間財価格を上昇させるために，中間財を供給する企業(上流企業)を吸収合併しているのではないかという仮説がある。この垂直的合併がライバル企業のコストを高めるかという仮説をカリフォルニアの地域ごとのガソリン産業の産業構造データと卸売り価格データから実証しようとしていた。1997年に製ガソリン業者(Unocal)を小売り業者(Tosco)が買収していて、その合併による地域レベルの産業構造変化を自然実験的に用いているので垂直的合併の効果をきれいに推定している、というのが著者たちの言い分のようだ。しかし、使っているデータは12地域×128週のパネルデータなので、買収による所有権の移転のスピードが地域間で異なっていたという事情でもない限りは、産業構造の変動は買収以外の要素が大きく影響しているような気がしてならない。が、そこらへんは論文を読んでもよくわからない。

でも、合併による(地域)産業構造の変動によって産業構造（S)と企業行動（C)や結果(P)の因果関係を実証するという手法は応用可能性が広そうだとは思った。自然実験を使った実証は他にはBerry and Waldfogel, “Do mergers increase product variety? Evidence from radio broadcasting,” Quarterly Journal of Economics, vol. 116, pp. 1009-25, 2001.が有名どころか。
        
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    <title>米国の関税削減がアフリカの対米輸出に与える影響</title>
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    <published>2005-09-26T08:52:53Z</published>
    <updated>2007-01-17T17:50:56Z</updated>
    
    <summary>トロント大学のGarth Frazerがアメリカの対アフリカ関税優遇政策(Afr...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        <![CDATA[トロント大学のGarth Frazerがアメリカの対アフリカ関税優遇政策(African Growth Opportunity Act: AGOA)がアフリカ諸国の対米輸出量に与えた効果の実証分析を報告した。

"Trade Growth under AGOA," with Johannes Van Biesebroeck, working paper

政策の影響を受けた国、財、と受けない国、財があることを利用して、Triple　Difference推定量 (DDのコントロールグループが1つ増えたもの)を使っていて、貿易政策の実証としては非常に注意深い実証だったと思う。

Triple　Difference推定量のメリットをその名の通り3段階で説明してみる。（分かっている人は飛ばしてください。）
第一段階：Difference
たとえばこの関税優遇政策（以下AGOA）の効果を見るために一時点でAGOA対象国の対米輸出と非対象国の対米輸出を比較してみたとする。そうすると，AGOA対象国の対米輸出は非対象国の対米輸出よりも<em>少ない</em>という結果になるだろう。アフリカ諸国はそれ以外の国よりGDPが低く輸出量も小さいからだ。しかしこのことをもってAGOAは輸出量に悪影響を与えているとはいえない。単純な比較ではAGOA対象国と非対象国のもともとの違いを考慮（コントロールできない。）

第二段階：Difference in Difference
そこで今度はAGOA実施前後のデータが手に入る状況を考えてみる。（1）AGOA対象国の対米輸出のAGOA<em>実施前後の変化</em>と（2）非対象国の対米輸出のAGOA<em>実施前後の変化</em>を比較してみたとする。（1）でAGOA実施前後の差をとることで，AGOA対象国固有の要因は差し引かれる。同様に（2）ででAGOA実施前後の差をとることで，非AGOA対象国固有の要因は差し引かれる。ということで，変化(difference)の差（difference）をとるこのdifference in difference法を用いることで<em>時間を通じて変化しない各国固有の要因</em>をコントロールすることができる。AGOA対象国の対米輸出のAGOA<em>実施前後の伸び</em>が非対象国の対米輸出のAGOA<em>実施前後の伸び</em>より大きければそれはAGOAのお陰でしょ，というわけだ。

ところが問題点はまだある。この方法では<em>時間を通じて変化する各国固有の要因</em>はコントロールできない。たとえば，成長しそうな国（アフリカ）がAGOAの対象となっていたのかもしれない。この場合対象国の輸出が非対象国に輸出に比べて大きく増加していたとしても、AGOAの効果というよりも、全体的に成長率が高い国がAGOA対象国となっていただけかもしれない。

第三段階：Triple Difference
そこで，一国の中でもAGOAの対象になる財とそうでない財があるとする。もしそれらの財にAGOA対象財かそうでない財かということ以外の体系的違いがないとすればAGOA以外の当該国の経済環境変化が財輸出に与える影響も平均的には同じはずである。そこで，もう一段階差を取って，
(対象国のAGOA対象財の輸出の伸び-対象国の非AGOA対象財の輸出の伸び）
-(非対象国のAGOA対象財の輸出の伸び-非対象国の非AGOA対象財の輸出の伸び）
を計算することで<em>時間を通じて変化する各国固有の要因</em>もコントロールできると考えられる。(同じロジックで<em>時間を通じて変化する各財固有の要因</em>もコントロールできる)

もちろんそれでもバイアスは生じうる。たとえば，アフリカ諸国とそれ以外の国で比較優位と国際的分業のパターンがAGOAとは無関係に変化しているかもしれない。AGOA対象財は主に農産品と繊維品らしいのでAGOA非対象国がAGOAとは無関係に技術進歩などの要因ででそれ以外の工業品に輸出をシフトさせているとしたらこのTriple-difference estimatorにはバイアスが生じうる。

とはいうものの，通商政策の実証では例外的とも言えるくらいの注意深い実証であり貢献は大きいと思う。

アメリカへの輸出は増えてもその分ヨーロッパへの輸出が減っていたりしたら，アフリカ諸国の成長にとってのインパクトはなかったのではないかとか，AGOA非対象国がAGOA対象国を迂回貿易の中継点として利用していたのではないか、とか言う点をチェックする必要がある。セミナーでも質問はこれらの点に集中していたと思う。著者は論文内でこれらの不安を払拭するある程度の証拠をあげている。

輸出が増大したと言えそうなことはわかったが、そのことによって、所得はどの程度増えたのか、とか企業の生産性がどの程度増えたのか（Learning by Exporting）とか、資源再配分がどの程度行われたのか、などを検証する作業はこれからだと思われる。つまりもっと多くの論文のネタがあるということだ。
]]>
        
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    <title>銀行の国有化の効果</title>
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    <published>2005-09-24T21:27:38Z</published>
    <updated>2006-01-07T04:26:44Z</updated>
    
    <summary>Financial Development, Bank Ownership, a...</summary>
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        <category term="金融" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        Financial Development, Bank Ownership, and Growth. Or, Does Quantity Imply Quality?
By Shawn Cole

インドの1980年の銀行の国営化が地域金融に与えた影響の実証論文です。所有権(変更)の効果の実証というのは、所有権(変更)が外生的でないことからなかなか説得的に行うのが難しいのです。が、この論文は、一定以上の規模の銀行だけが国有化されたという事実を用いて、その一定以上の規模にぎりぎり届かなくて国有化されなかった銀行の支店だけがある地域と、一定以上の規模にぎりぎり届いて国有化された銀行の支店だけがある地域を比較する方法 (Regression Discontinuity)で国有化が資金の潤沢な供給をもたらしたけど、産業構造変化などの質的な効果はもたらさなかったということを示しています。
        
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    <title>民事法制度が資本市場の資源配分に与える影響</title>
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    <published>2005-04-04T21:03:24Z</published>
    <updated>2006-01-07T04:24:00Z</updated>
    
    <summary>Sujata Visaria &quot;Legal Reform and Loan Re...</summary>
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        <category term="金融" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        Sujata Visaria
&quot;Legal Reform and Loan Repayment: The Microeconomic Impact of Debt Recovery Tribunals in India&quot;
 
この論文は民事法制度の質が経済パフォーマンスに影響を及ぼすことを実証したもの。
インドで1993年から中央政府によって民事紛争処理専門機関が
各地に設立されているが、銀行貸し出しのうち、
民事紛争処理機関の対象となるような貸し出しについて
返済率の上昇と貸出し利子率の低下が起こったことを実証している。
 
制度の質と経済パフォーマンスの関係は世界銀行などは当然のように
とらえていて報告書まで書いていますが、説得力の高い
実証研究は多くなかったのでいい論文だと思います。
 
        
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    <title>政治的コネと企業価値の関係</title>
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    <published>2005-03-22T20:48:38Z</published>
    <updated>2006-01-07T04:20:58Z</updated>
    
    <summary>開発経済学の講義でRay Fismanがゲストレクチャーをしに来た。政治家とのコ...</summary>
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        <category term="政治経済" />
    
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        開発経済学の講義でRay Fismanがゲストレクチャーをしに来た。政治家とのコネ、汚職、脱税、密輸、出会い系サイトの研究の実証の第一人者が自分の研究を肴に研究の進め方をアドバイス。

彼のJob Market PaperであるEstimating the Value of Political Connections, AER, 2001の研究過程がとても興味深かった。この論文はインドネシアで(当時)トップのスハルトとのコネがある会社とコネがない会社で、スハルトの健康状態の悪化のニュースが会社の株価率収益に与える影響がどう異なるかを実証した論文だ。

細部は違うかも。
1研究開始前：アジアと中南米を数ヶ月ぶらつく。
　→ビジネスにおけるコネの重要度について研究しようと思ったらしい。
　(他にも考えたテーマはあって、このプロジェクトが論文書けそうになるまでは
　　他のプロジェクトの進めていたらしい。)
2テーマが多くの人に興味をもってもらえそうかチェック。
　→開発系、政治系など興味を持ちそうな人は多そうだ。
3新しい貢献ができそうかチェック。
　→コネと会社のパフォーマンスは誰も厳密に実証してないじゃん!!
4どう実証するか考える。
　→政権交代(インドネシアに限らず)をイベント(コネの価値の外生的変化)にできないか？
　→政権交代だとインパクトが多面的すぎて、会社のパフォーマンスがコネの変化のせいなのか
　　政権交代そのものの変化のせいなのかわからなくなってしまう。
　→結局必要なデータ、
　　　1会社の価値の指標。
　　　2会社価値への影響がコネの有無で異なるがコネ以外の経路では影響しない「何かしらのイベント」
　　　3会社ごとの政権トップとのコネの有無の指標。
5データを探す。
　何かしらの情報を持っていそうな人にアポをとりまくり話しまくる。
　　5.1　会社の価値の指標
　　　→株価収益率。
　　5.2　「何かしらのイベント」(インドネシアに限らず)
　　　→候補1、選挙での意外な結果(事前予測と違う結果)
　　　→候補2、香港の返還
　　　→候補3、スハルト関連の何か（暴動、政治不安のニュースなど）
　　　→歴史(か地理か他か忘れたけど経済以外の)学者が面会中に、
　　　　『「スハルトが風邪を引くと、○○(インドネシアの代表的企業)は寝込む」
　　　　　というジョークがあってねえ』と言う。
　　　→それだ!!新聞からスハルトの健康不安に関係するニュースを集めまくる。
　　5.3　政権トップとのコネの有無の指標
　　　　→候補1、学閥
　　　　→候補2、社長室にスハルトの肖像が飾ってあるか？
　　　　→1と2に関して企業にアンケートを取ってみる。→ほとんど返ってこない。
　　　　→生物(か物理か他か忘れたけど経済以外の) 学者が面会中に、
　　　　　『△△というコンサル会社が顧客のインドネシア進出のために
　　　　　インドネシア企業がどれだけスハルト一家とのコネがあるかを示す
　　　　　Suharto Dependency Indexというのを作っているらしいよ。』と言う。
　　　　→実はその会社はそれまで数回接触したことがある会社だった。
　　　　　(自分の研究で情報提供者が得することがなければ基本的にいい情報を得られないことを痛感)
　　　　→その会社からSuharto Dependency Indexを入手。
6計算して論文執筆。

Fismanからのアドバイス。どこまで一般的かは読む人が判断してくださいませ。

1指導教官はとにかく自分に時間を割いてくれる人を見つけること。
　そして、指導教官が許す限り頻繁に会いに行くこと。
2複数相談できる人を持つこと。
　(A先生に「そのアイデアにはXという問題がある。」といわれたときに、
　　B先生に「僕のアイデアには今のところXが障害なんですが」といい
　　B先生が「その問題にはPかQという対処法がある」と言ってくれれば
　　A先生に「A先生が指摘した問題にはPとQの対処法を見つけましたがどちらがいい？」と聞く。
　　などなど、と言ったことが、自分でがんばってもなんとかならないときにできる。)
3複数プロジェクトを持ったほうがいい。
　理由1：実証結果が(自分の研究に)望ましくないときのリスクを減らす。
　理由2：先生(特にアメリカ人)は学生のプロジェクトを(絶対評価で)「だめだ」とはなかなか言いにくい。
　　　　　複数のアイデアを持っていけば相対的にどちらがいいかは言いやすいので
　　　　　望みが薄いプロジェクトに時間を割くリスクを減らせる。　　　　
4研究に関係しそうな人は分野問わず会いまくって意見を交わすこと。
　密輸の研究に関しては密輸商ともいろいろ話したとか。
5論文に書くかどうかはともかく理論モデルを作る、あるいは最低意識すること。
6研究のネタは新聞と歴史書に転がっている。
　「毎日見つかる」と豪語するFismanに　
　「例えば今日の新聞からは何を見つけた？」という突込みがあり、それに対し、
　「今日(3月21日)のNew York Timesのスポーツ面にはNBAの黒人ヘッドコーチは白人ヘッドコー  チより解任されやすいって記事があったけど、成績をコントロールした上で、成績が悪くなくても
　黒人であるだけで解任されやすいのか、成績が悪いから解任されやすいのか、成績が悪くてか    つ黒人　だと解任されやすいのかきちんと実証できれば差別に関するいい論文になるよ。」
   という返事。
7トピックを考えるときはどんなデータとイベントがあれば実証できるか考えること。
8途上国の研究をしたければ行け。暮らせ。
        
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    <title>マイクロクレジット需要の利子弾力性</title>
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    <published>2005-03-10T20:55:02Z</published>
    <updated>2006-01-07T04:20:02Z</updated>
    
    <summary>続けて開発セミナーでMorduch(NYU)の報告を聞く。マイクロクレジットの世...</summary>
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        <category term="金融" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://tetteresearch.net/seminarpaper/">
        続けて開発セミナーでMorduch(NYU)の報告を聞く。マイクロクレジットの世界では「貧困層の資金需要の利子弾力性は小さいから、利子率を上げてマイクロクレジット機関の採算性を向上させるべきだ」といわれているらしい。
この研究ではそのことが本当かどうかを、ある機関の膨大なデータ(5千人の数年間の全取引を記録したもの)と
その機関が特定地域対象に行った利子率引き上げを自然実験として検証していた。その結果資金需要の利子弾力性は大きいという結果がある程度説得的に示されていた。これだけ豊富なデータと外生的な利子率変動がありながら貸し出し資金の用途(消費か事業かとか)の情報がないので貸し出しが減ったことがわかってもその結果消費や事業や所得にどんな影響を及ぼしているかがわからないのが残念。

彼によるとマイクロクレジットではグループ融資や連帯債務という側面が
これまで経済学から注目されていたが、個人融資でも返済率はきわめて高いことから
最近は1頻繁(週1、月1)に細かく返済することを求めていること、
2最初はごくわずかな金額から取引回数が増えるごとにだんだん融資額を増やしていくこと、
の2つのインセンティブ効果が注目されているということです。
(1年前のグラミン銀行創始者のムハマド・ユヌスが講演したときも
「重要なのはグループ融資ではない。貧しい女性たちは他の融資の選択肢が
限られているのでグラミンでの信用履歴を傷つけるコストが大きいから
必ず返してくれるのだ。」といっていました。)
 
あと今まではマイクロクレジット機関の採算性が問題とされてきていて、実務では
「貧困層の資金需要の利子弾力性は小さいから、
利子率を上げてマイクロクレジット機関の採算性を向上させるべきだ」
ということが言われているそうです。
 
今回の報告は「実は貧困層の資金需要の利子弾力性は大きい」というものでした。
ダッカのSafe Saveというマイクロクレジット機関で実験的にある地域で利子率を上げたが
他の地域で上げなかったというのを利用して、その機関の顧客全員の全取引データ
(何月何日にいくら貯金していくら既存の融資の利子分を返済して、いくら新規融資を受けたか
などが全部記録されている)で利子率の借り入れへの影響を見たものでした。
 
ただ、この研究では借り入れを減らした結果、どれだけ個人の所得機会に影響を
与えたかというのかは残念ながらわかっていません。
というかそもそも、これだけ世間の注目を集めながら、
今のところマイクロクレジットが貧困層の所得、教育その他のパフォーマンスに
正の影響を与えているということを定量的に説得的に示した論文はないはずです。
(説得的でないものならもちろんあります。たぶんセレクションバイアスを説得的に
回避するのが至難なのだと思います。)
        
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