2009年5月アーカイブ

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経済学専攻で米国に大学院留学をして、研究者職を目指して就職活動をした際の体験談です。

 
初版2009年5月。

(1) このサイトの構成
(2) 前提知識
(3) 用語集(未完)
(4) お断り
(5) リンク(未完)

(1)このサイトの構成

体験したことを時系列順に並べています。特定の決定、できごとは個人によって1ヶ月前後の差があります。


(2)前提知識(ジョブマーケットに出 ることとは)

一般的なジョブマーケットの流れは簡単に言うと、

ジョブマーケットに出る(以下のプロセスに参加する)ことの決定
→学内で研究発表、それをもとにした教授会でのランク付け
→求人に応募→書類選考
→書類選考に通った大学とAEA(アメリカ経済学会)ミーティングで30-40分前後の面接
→AEAでの面接に通った大学の現地での最終面接と研究発表(フライアウト)
→オファー・就職先決定

となります。

このプロセスはアメリカ、及びアメリカ型の採用システムを取る世界中の大学に共通しています。カナダ、ヨーロッパの大学はAEAミーティングの代わりに他の 現地開催学会で面接を行うこともあります。(が、私は体験していないので書きません。1校だけイギリスの大学の電話面接がありました。)

執筆者である私個人の記録を書いておくと、

出身大学:コロンビア大学経済学部
ジョブマーケットでの分野: 主分野は国際貿易 副分野は開発経済学

応募数:約150研究機関
AEAミーティング(前後)での面接:18大学 (大学以外の研究機関は全滅)  
フライアウト:4大学 (オファーは7大学から。3大学はスケジュールの都合で実現せず。)
採用:1 (Instituto Tecnológico Autónomo de México, ITAM)

ITAMについて:

(1)ラテンアメリカでNo.1の経済学研究機関。Journal of European Economic Associationに掲載されたこの論文の ランキングによると世界73位らしい。ただし、他のランキングではそれよりかなり低いです。論文掲載時の所属によるランキングと現時点での所属によるラン キングで大差があって、前者の方がはるかによいランキングになるようで、これはITAMは現在進行形で生産的な人が集まっている場所だという意味だと解釈することにしています。実際、大学を訪問した時にとてもいい研究環境だと思いました。

(2)メキシコの政財官界に出身者が多い大学。私は主に、メキシコのデータを使った研究をしている(実際、博士課程在籍時にメキシコに合計5ヶ月ほど滞在 した)ので、私にとっては研究資源へのアクセス面では理想的な環境だと思います。

(3)用語集(未完)

ジョブマーケット・ キャンディデイト...ジョブマーケットに出ている学生のことを指します。

ジョブマーケット・ペーパー...自分の代表作の論文です。ジョブマーケット・ペーパーの質が自分のジョブマーケット・キャンディデイトとしての質の大部 分を決定します。

フライアウト...大学、研究機関に直接招待されてジョブマーケット・ペーパーの報告、面接を行うこと。ここで気に入られれば内定(オファー)がでます。

アドバイザー...指導教授のことです。

(4)お断り



ジョ ブマーケットでの体験は、その年の全体的な研究者需要、専門分野の研究者需要、自分の論文の質、論文のタイプ(理論か実証かなど)、指導教官のサポートな どによって大きく左右されます。したがって、個人の経験談、および、それをもとにしたアドバイスというのはあまりあてにならないということを注意しておか れた方がいいと思います。ただ、いくつか後悔、反省しているポイントはあるので、その点は今後ジョブマーケットに出る方には反面教師にしていただければと思います。ただ、反面教師にしていただきたいポイ ントというのがどの程度重要なのかということすらよくわからないのですが...

正直、自分にとって満足できる結果になったのはほとんど運と指導教授と妻とあと経済学部日本人連中のサポートの賜物で、自分がもっと頑張っていればもっと いい結果になりえたのではないかと思っています。

記憶を頼りに書いている部分が多いので、何か重要なことをさくっと抜かしているかもしれません

ブログ形式で書いてますが、各記事が公開されている日付に意味はありません。



(5)他に特に有益そうなページへのリ ンク(未完)

経済学Ph.Dの 就職(経済学留学ガイド)
英語サイトへのリンクが多数あります。

英語を制するもの が ジョブを制す 
Econo斬り、2006年11月30日での"K先生"の助言。結局これに尽きる気がするなあ...
他にも就職 活動カテゴリの記事の内容が充実してます。

Essay, dated. 2006年10月27日、31日の記事。とても参考になります。
ジョブマーケット体験者からの有益な助言が多くあります。


2008年夏休み

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時系列順まとめ1:2008年夏休み(就職活動開始直前)

まだ論文(ジョブマーケットペーパー)を書きあげていませんでした。分析を続けていました。決してほめられたことじゃありませんが、仕方ありません。

(1)主なできごと

6月末

イタリアで開催された開発経済学のサマースクールに参加して研究報告を行いました。たまたまそのサマースクールにはアドバイザーが講師として来ていて、私の研究報告にも来てくれました。その研究報告の前日にアドバイザーに報告用スライドを見てもらったのですが、アドバイザーにいきなり、"Too IO-tic"というコメントをもらいました。(IO=産業組織論)

私の研究は国際貿易が技術進歩に与える影響に関するものです。技術進歩は産業組織論の研究対象でもあるので、国際貿易と技術進歩の関係について論文を書く際には国際貿易論色、産業組織論色のどちらをどれだけ強く出すかを考える必要があります。当時は産業組織論として書いた方が研究の貢献が一番大きいかなと思って産業組織論色を強く打ち出したのですが...

指導教授の意図としては、
(1)私の推薦者となりそうな人たちは基本的に国際経済の専門家だから、産業組織論のジョブマーケットペーパーを書く学生を強く売り出す推薦状を書くことができない。
(2)産業組織論の実証は構造推定をやっている人しか採用されない可能性が高い。
ということでした。

このエピソードから以下のことが言えると思います。

(1)からは自分の研究トピック、論文が推薦者が強く推薦状を書ける分野かどうかを事前に確認することが重要であると言えると思います。
(2)が事実かどうかは知りませんが、大学側からすれば現在研究の主流であり従って教育ニーズが高い構造推定をできる人を取りたいという気持ちはあると思います。いい研究=ジョブマーケットで成功する研究とは必ずしも限らないかも知れない、ということは知っておいていいかも知れません。

ま、以上の点はジョブマーケットに出る時に考えても遅いですけどね。
何かできるとしたら、事前(3年生、4年生のうちに)にできるだけ指導教官に限らず多くの先生に話して(1)(2)の点を心配する人がいないことを確認す る、ということでしょうか。

7月

学生ビザ更新のために日本に帰ってきていました。1ヶ月ほど日本にいましたが、けっこうだらだらしてしまいました。日本滞在中に研究報告の機会を作るべきだったと思います。

7月末

世界銀行のYP(Young Professional)の採用ページをチェックしたら、すでに応募締切が過ぎていて応募すらできませんでした。

私の就職活動は不戦敗という形で幕を開けたの でした。
また、民間企業もコンサルは比較的早い時期から就職活動が始まるようで、完全に逃しました。
(まあ、当時はあまり民間企業就職を考えていませんでしたが。12-2月はそのことを何度も後悔しました。)

8月上旬
指導教官に進捗報告をしたら進捗が遅いとはっきり言われました。以降ほとんど就職活動終了まで"You are behind the schedule."というセリフを会うたびに言われることになるのでした...

8月中下旬
研究の仕上げのためにメキシコ統計局に行きました。(メキシコの統計局が集めている個票データを研究に使っているので)。そこで実証戦略上の大きな方針転換をしました。

(2)反省点

本来、夏休みはジョブマーケットペーパーの仕上げ時期。それに全力集中すべきです。とはいえ、だれてしまうのが常人の悲しさ。できるだけ多くの研究発表の機会を作って自分に研究作業を強制的にさせるようにするのが望ましかったかなと思います。あと、アカデミック機関以外の就職活動は夏に始まることが多いので情報を ちゃんと収集すべきだったかと思います。

時系列順まとめ2:2008年9月(ジョブマーケットに出るかどうかの決定+推薦者決定)

(1)ジョブマーケットに出るか どうかの決定

大学によって違うと思いますが、9-10月のいずれかの時点で、ジョブマーケットに出るかどうかの決定を公式にすることになります。これも大学によって違 うと思いますが、博士課程の間でジョブマーケットには一度しか出られないことが多いのでこの決定は重要です。

私の場合、ジョブマーケットペーパーに含まれるであろう実証結果がジョブマーケットで成功するほど十分でないor (and) 大幅な改善の余地があるので待った方がいいと考えたアドバイザーが多かったため、かなり迷いました。

が、結局ジョブマーケットに出ることにしました。

(2)推薦者の決定

推薦者は最低3人必要です。私の場合、2人は確実に決まっていました。問題は3人目を誰にするのか、ということです。最終的な選択肢は国際貿易論専攻のシ ニア(教授)の先生、開発経済学専攻だけれども時々助言をもらっていたジュニア(助教授)の先生の2人でした。すでに決まっていた2人は国際貿易、開発経 済両方をやっているジュニアの先生と国際貿易専門のシニアの先生でした。というわけで、3人目の選択は推薦者陣の国際貿易色を完全なものとするか、国際貿 易と開発経済両方のバランスを取るか、という選択となっていました。結局、どっちつかずと思われるのが嫌だったので、国際貿易論で固めることにしました。 この選択がそうでない選択よりもよかったのかどうかはよくわかりません。

9月はジョブマーケットに出るかどうかの決定+論文執筆に費やされました。


メッセージ:9月にこんな調子じゃ論外ですから。
時系列順まとめ3:2008年10月(学内での研究報告)

学内での研究報告


大学によって時期は違うと思いますが、10月中下旬に教授たちが教授会を開き、ジョブマーケットに出る学生の評価、格付けをします。その格付けに基づいて、学部がどの学生を売り出すかどうかを決めるので教授会での評価は重要です。(より正確に言えば、学部がわざわざたくさんの大学に「これが今年の有望株だよ!」と売り出すことはたぶんしませんが、多くの大学が逆に就職活動担当委員会の教授に「今年の有望株誰?」と聞いてくるので、そこでその教授が自分の名前を出すかが重要だということです。)

教授会での評価の重要な材料となるのが学内でのセミナーでの研究報告です。セミナー報告は主に指導教授以外の自分の専門内、専門外の先生からの支持を取りつける場 (or失敗すると教授会で評価を下げる材料を与えてしまう場)という位置づけになるのではないかと思います。

私は10月2日に開発経済セミナーで、10月15日に国際経済セミナーで報告しました。あまりうまくいきませんでした、特により重要な後者の方orz あまりうまく行かなかったと思っていたのに、アドバイザー達が「お前の発表なんてこんなもんだろ」みたいな生暖い対応だったのが悲しかったです。

後輩数名には「本番こんな発表じゃやばいよ。」という趣旨のことを言 われましたが。

10月は研究報告準備と研究報告をもとにした論文改訂(というか執筆)に追われていました。
夏休みのところで書き忘れましたが、夏休みにはこの研究報告のスロットを確保するというのが重要な仕事の1つです。


メッセージ:10月にこんな調子じゃ(略)
     
あと報告前に徹夜すると報告ぐだぐだになるよ!

2008年11月:出願作業

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時系列順まとめ4:2008年11月(ジョブマーケットペーパー完成+出願作業)

(1)ジョブマーケットペーパー 完成

いや、遅いし。

ジョブマーケット・ペーパーはメインの指導教授による全面的添削2回の後にやっと公開、応募先発想へのゴーサインがでました。添削に関しては本当に感謝しております。

あと、この論文の校正段階では、アカデミック・ライティングの訓練を多分に受けてきた某後輩Hの突っ込みがとても役に立ちました。

(2)出願作業

基本的にJOE(アメリカ経済学会が運営している経済学関係の求人情報)などのサイトに載っている求人で、専攻分野が国際貿易、開発経済、なんでも、となっているものを片っ端からリストアップして出願しました。た だ、作業中に気力が尽きて、リストアップから漏れたり、リストにあっても出願しなかったりした大学もありました。メイン・アドバイザーのゴーサインが出たジョブマーケットペーパーができたのがかなり遅かったため、けっこうな数の大学の締切はすでに過ぎましたが構わず送りつけました。一般にはアメ リカの大学向けにはサンクスギビング明けまでに着いていればいいと聞きますが本当のところはよくわかりません。最終的に合計150校くらい応募したと思います。結果論から言えば、次の面接の段階 に進んだ18校のうち、2校だけが開発経済学の応募で残りは国際貿易か分野関係なしかそれ以外でした。

出願形式が、(1)オンラインサイト(econjobmarket.orgなど)でほとんどワンクリックで出願できるところ、(2)大学独自のサイトで出願しなければならないと ころ、(3)ハードコピー郵送で出願しなけければならないところ、(4)(2)と(3)の合わせ技、と分かれていて、そのせいで作業がかえって面倒くさいです。近いうちに(1)に収束していくといいです ね。

ちなみに、アメリカ以外は締切を守る必要があること(=オンライン受付が締切日に本当に締め切られること)が多いです。

注意:公募情報は公募のタイトルと中身が違うことが時々あります。

ありがちなケース1
政策系の大学院(Policy Schools)はなぜか公募の分野欄に国際経済学での募集と銘打ちたがります。が、公募の中身をよく読むと国際経済学に関係なかったりすることがよくあります。

ありがちなケース2
Microeconomicsという分野名を聞くとミクロ理論(意思決定理論、ゲーム理論)を想像させられますが、公募の中身は応用ミクロ(労働、医療、 教育、財政など)もしくはマクロ以外ならなんでもあり、というものが時々あるようです。

(3)アドバイザーによる応募校 へのコンタクト

アドバイザーによっては出願先に個別にコンタクトを取ってくれたりします。私のメイン・アドバイザーはコンタクトして欲しい大学50大学の大学名と公募分野と連絡先を私に提出させました(そのうちどれくらいの大学に実際にコンタクトをしたのかは知りませんが)。どのタイミングが最適と考えるかは人によって違うようです。私のメイン・アドバイザーはサンクスギビング 明け直後がベストだと考えていたようです。理由はその前だとまだ実質的な選考が始まっていない可能性が高くて(それに私の場合は書類がついていない可能性 も高かった...)、それ以降だと誰を面接するかだいたい決まった後のコンタクトは、この時期にアドバイザーに頼る必要がある→順調でないなこいつ→うちもやめとこ、と思われて逆効果の可能性が高いからだというもののようです。ただ、そうでないと思う先生もたくさんいるようです。

Solicitation

時々、「うちに応募してください」とのお誘いが来ます。上位校は各大学院の就職活動担当委員会(placement committee)の教授に誰がお勧めの学生か聞いて、そこで名前が出た学生に直接応募を求めて、そうした学生を重点的に選考するようです。そういう上位校からはsolicitされませんでしたが、placement committee以外の経路からもsolicitationをすることはあるようで、何校か来ました。placement committee委員長の某教授は「時々solicitationが来る」って言ったら驚いてやがったので学部からはあまりお勧めの学生でなかったようです。こういう 学生ほど、メインアドバイザーの応募校へのコンタクトというのは重要になってくると思います。

ちなみにSolicitationは私の場合は、
11月は5件(3件面接に)
12月は2件(2件面接に)
あってかなりの確率で面接につながりましたが、一概にそうなるとは言えないようです。



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