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経済学専攻で米国に大学院留学をして、研究者職を目指して就職活動をした際の体験談です。

 
初版2009年5月。

(1) このサイトの構成
(2) 前提知識
(3) 用語集(未完)
(4) お断り
(5) リンク(未完)

(1)このサイトの構成

体験したことを時系列順に並べています。特定の決定、できごとは個人によって1ヶ月前後の差があります。


(2)前提知識(ジョブマーケットに出 ることとは)

一般的なジョブマーケットの流れは簡単に言うと、

ジョブマーケットに出る(以下のプロセスに参加する)ことの決定
→学内で研究発表、それをもとにした教授会でのランク付け
→求人に応募→書類選考
→書類選考に通った大学とAEA(アメリカ経済学会)ミーティングで30-40分前後の面接
→AEAでの面接に通った大学の現地での最終面接と研究発表(フライアウト)
→オファー・就職先決定

となります。

このプロセスはアメリカ、及びアメリカ型の採用システムを取る世界中の大学に共通しています。カナダ、ヨーロッパの大学はAEAミーティングの代わりに他の 現地開催学会で面接を行うこともあります。(が、私は体験していないので書きません。1校だけイギリスの大学の電話面接がありました。)

執筆者である私個人の記録を書いておくと、

出身大学:コロンビア大学経済学部
ジョブマーケットでの分野: 主分野は国際貿易 副分野は開発経済学

応募数:約150研究機関
AEAミーティング(前後)での面接:18大学 (大学以外の研究機関は全滅)  
フライアウト:4大学 (オファーは7大学から。3大学はスケジュールの都合で実現せず。)
採用:1 (Instituto Tecnológico Autónomo de México, ITAM)

ITAMについて:

(1)ラテンアメリカでNo.1の経済学研究機関。Journal of European Economic Associationに掲載されたこの論文の ランキングによると世界73位らしい。ただし、他のランキングではそれよりかなり低いです。論文掲載時の所属によるランキングと現時点での所属によるラン キングで大差があって、前者の方がはるかによいランキングになるようで、これはITAMは現在進行形で生産的な人が集まっている場所だという意味だと解釈することにしています。実際、大学を訪問した時にとてもいい研究環境だと思いました。

(2)メキシコの政財官界に出身者が多い大学。私は主に、メキシコのデータを使った研究をしている(実際、博士課程在籍時にメキシコに合計5ヶ月ほど滞在 した)ので、私にとっては研究資源へのアクセス面では理想的な環境だと思います。

(3)用語集(未完)

ジョブマーケット・ キャンディデイト...ジョブマーケットに出ている学生のことを指します。

ジョブマーケット・ペーパー...自分の代表作の論文です。ジョブマーケット・ペーパーの質が自分のジョブマーケット・キャンディデイトとしての質の大部 分を決定します。

フライアウト...大学、研究機関に直接招待されてジョブマーケット・ペーパーの報告、面接を行うこと。ここで気に入られれば内定(オファー)がでます。

アドバイザー...指導教授のことです。

(4)お断り



ジョ ブマーケットでの体験は、その年の全体的な研究者需要、専門分野の研究者需要、自分の論文の質、論文のタイプ(理論か実証かなど)、指導教官のサポートな どによって大きく左右されます。したがって、個人の経験談、および、それをもとにしたアドバイスというのはあまりあてにならないということを注意しておか れた方がいいと思います。ただ、いくつか後悔、反省しているポイントはあるので、その点は今後ジョブマーケットに出る方には反面教師にしていただければと思います。ただ、反面教師にしていただきたいポイ ントというのがどの程度重要なのかということすらよくわからないのですが...

正直、自分にとって満足できる結果になったのはほとんど運と指導教授と妻とあと経済学部日本人連中のサポートの賜物で、自分がもっと頑張っていればもっと いい結果になりえたのではないかと思っています。

記憶を頼りに書いている部分が多いので、何か重要なことをさくっと抜かしているかもしれません

ブログ形式で書いてますが、各記事が公開されている日付に意味はありません。



(5)他に特に有益そうなページへのリ ンク(未完)

経済学Ph.Dの 就職(経済学留学ガイド)
英語サイトへのリンクが多数あります。

英語を制するもの が ジョブを制す 
Econo斬り、2006年11月30日での"K先生"の助言。結局これに尽きる気がするなあ...
他にも就職 活動カテゴリの記事の内容が充実してます。

Essay, dated. 2006年10月27日、31日の記事。とても参考になります。
ジョブマーケット体験者からの有益な助言が多くあります。


2008年夏休み

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時系列順まとめ1:2008年夏休み(就職活動開始直前)

まだ論文(ジョブマーケットペーパー)を書きあげていませんでした。分析を続けていました。決してほめられたことじゃありませんが、仕方ありません。

(1)主なできごと

6月末

イタリアで開催された開発経済学のサマースクールに参加して研究報告を行いました。たまたまそのサマースクールにはアドバイザーが講師として来ていて、私の研究報告にも来てくれました。その研究報告の前日にアドバイザーに報告用スライドを見てもらったのですが、アドバイザーにいきなり、"Too IO-tic"というコメントをもらいました。(IO=産業組織論)

私の研究は国際貿易が技術進歩に与える影響に関するものです。技術進歩は産業組織論の研究対象でもあるので、国際貿易と技術進歩の関係について論文を書く際には国際貿易論色、産業組織論色のどちらをどれだけ強く出すかを考える必要があります。当時は産業組織論として書いた方が研究の貢献が一番大きいかなと思って産業組織論色を強く打ち出したのですが...

指導教授の意図としては、
(1)私の推薦者となりそうな人たちは基本的に国際経済の専門家だから、産業組織論のジョブマーケットペーパーを書く学生を強く売り出す推薦状を書くことができない。
(2)産業組織論の実証は構造推定をやっている人しか採用されない可能性が高い。
ということでした。

このエピソードから以下のことが言えると思います。

(1)からは自分の研究トピック、論文が推薦者が強く推薦状を書ける分野かどうかを事前に確認することが重要であると言えると思います。
(2)が事実かどうかは知りませんが、大学側からすれば現在研究の主流であり従って教育ニーズが高い構造推定をできる人を取りたいという気持ちはあると思います。いい研究=ジョブマーケットで成功する研究とは必ずしも限らないかも知れない、ということは知っておいていいかも知れません。

ま、以上の点はジョブマーケットに出る時に考えても遅いですけどね。
何かできるとしたら、事前(3年生、4年生のうちに)にできるだけ指導教官に限らず多くの先生に話して(1)(2)の点を心配する人がいないことを確認す る、ということでしょうか。

7月

学生ビザ更新のために日本に帰ってきていました。1ヶ月ほど日本にいましたが、けっこうだらだらしてしまいました。日本滞在中に研究報告の機会を作るべきだったと思います。

7月末

世界銀行のYP(Young Professional)の採用ページをチェックしたら、すでに応募締切が過ぎていて応募すらできませんでした。

私の就職活動は不戦敗という形で幕を開けたの でした。
また、民間企業もコンサルは比較的早い時期から就職活動が始まるようで、完全に逃しました。
(まあ、当時はあまり民間企業就職を考えていませんでしたが。12-2月はそのことを何度も後悔しました。)

8月上旬
指導教官に進捗報告をしたら進捗が遅いとはっきり言われました。以降ほとんど就職活動終了まで"You are behind the schedule."というセリフを会うたびに言われることになるのでした...

8月中下旬
研究の仕上げのためにメキシコ統計局に行きました。(メキシコの統計局が集めている個票データを研究に使っているので)。そこで実証戦略上の大きな方針転換をしました。

(2)反省点

本来、夏休みはジョブマーケットペーパーの仕上げ時期。それに全力集中すべきです。とはいえ、だれてしまうのが常人の悲しさ。できるだけ多くの研究発表の機会を作って自分に研究作業を強制的にさせるようにするのが望ましかったかなと思います。あと、アカデミック機関以外の就職活動は夏に始まることが多いので情報を ちゃんと収集すべきだったかと思います。

時系列順まとめ2:2008年9月(ジョブマーケットに出るかどうかの決定+推薦者決定)

(1)ジョブマーケットに出るか どうかの決定

大学によって違うと思いますが、9-10月のいずれかの時点で、ジョブマーケットに出るかどうかの決定を公式にすることになります。これも大学によって違 うと思いますが、博士課程の間でジョブマーケットには一度しか出られないことが多いのでこの決定は重要です。

私の場合、ジョブマーケットペーパーに含まれるであろう実証結果がジョブマーケットで成功するほど十分でないor (and) 大幅な改善の余地があるので待った方がいいと考えたアドバイザーが多かったため、かなり迷いました。

が、結局ジョブマーケットに出ることにしました。

(2)推薦者の決定

推薦者は最低3人必要です。私の場合、2人は確実に決まっていました。問題は3人目を誰にするのか、ということです。最終的な選択肢は国際貿易論専攻のシ ニア(教授)の先生、開発経済学専攻だけれども時々助言をもらっていたジュニア(助教授)の先生の2人でした。すでに決まっていた2人は国際貿易、開発経 済両方をやっているジュニアの先生と国際貿易専門のシニアの先生でした。というわけで、3人目の選択は推薦者陣の国際貿易色を完全なものとするか、国際貿 易と開発経済両方のバランスを取るか、という選択となっていました。結局、どっちつかずと思われるのが嫌だったので、国際貿易論で固めることにしました。 この選択がそうでない選択よりもよかったのかどうかはよくわかりません。

9月はジョブマーケットに出るかどうかの決定+論文執筆に費やされました。


メッセージ:9月にこんな調子じゃ論外ですから。
時系列順まとめ3:2008年10月(学内での研究報告)

学内での研究報告


大学によって時期は違うと思いますが、10月中下旬に教授たちが教授会を開き、ジョブマーケットに出る学生の評価、格付けをします。その格付けに基づいて、学部がどの学生を売り出すかどうかを決めるので教授会での評価は重要です。(より正確に言えば、学部がわざわざたくさんの大学に「これが今年の有望株だよ!」と売り出すことはたぶんしませんが、多くの大学が逆に就職活動担当委員会の教授に「今年の有望株誰?」と聞いてくるので、そこでその教授が自分の名前を出すかが重要だということです。)

教授会での評価の重要な材料となるのが学内でのセミナーでの研究報告です。セミナー報告は主に指導教授以外の自分の専門内、専門外の先生からの支持を取りつける場 (or失敗すると教授会で評価を下げる材料を与えてしまう場)という位置づけになるのではないかと思います。

私は10月2日に開発経済セミナーで、10月15日に国際経済セミナーで報告しました。あまりうまくいきませんでした、特により重要な後者の方orz あまりうまく行かなかったと思っていたのに、アドバイザー達が「お前の発表なんてこんなもんだろ」みたいな生暖い対応だったのが悲しかったです。

後輩数名には「本番こんな発表じゃやばいよ。」という趣旨のことを言 われましたが。

10月は研究報告準備と研究報告をもとにした論文改訂(というか執筆)に追われていました。
夏休みのところで書き忘れましたが、夏休みにはこの研究報告のスロットを確保するというのが重要な仕事の1つです。


メッセージ:10月にこんな調子じゃ(略)
     
あと報告前に徹夜すると報告ぐだぐだになるよ!

2008年11月:出願作業

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時系列順まとめ4:2008年11月(ジョブマーケットペーパー完成+出願作業)

(1)ジョブマーケットペーパー 完成

いや、遅いし。

ジョブマーケット・ペーパーはメインの指導教授による全面的添削2回の後にやっと公開、応募先発想へのゴーサインがでました。添削に関しては本当に感謝しております。

あと、この論文の校正段階では、アカデミック・ライティングの訓練を多分に受けてきた某後輩Hの突っ込みがとても役に立ちました。

(2)出願作業

基本的にJOE(アメリカ経済学会が運営している経済学関係の求人情報)などのサイトに載っている求人で、専攻分野が国際貿易、開発経済、なんでも、となっているものを片っ端からリストアップして出願しました。た だ、作業中に気力が尽きて、リストアップから漏れたり、リストにあっても出願しなかったりした大学もありました。メイン・アドバイザーのゴーサインが出たジョブマーケットペーパーができたのがかなり遅かったため、けっこうな数の大学の締切はすでに過ぎましたが構わず送りつけました。一般にはアメ リカの大学向けにはサンクスギビング明けまでに着いていればいいと聞きますが本当のところはよくわかりません。最終的に合計150校くらい応募したと思います。結果論から言えば、次の面接の段階 に進んだ18校のうち、2校だけが開発経済学の応募で残りは国際貿易か分野関係なしかそれ以外でした。

出願形式が、(1)オンラインサイト(econjobmarket.orgなど)でほとんどワンクリックで出願できるところ、(2)大学独自のサイトで出願しなければならないと ころ、(3)ハードコピー郵送で出願しなけければならないところ、(4)(2)と(3)の合わせ技、と分かれていて、そのせいで作業がかえって面倒くさいです。近いうちに(1)に収束していくといいです ね。

ちなみに、アメリカ以外は締切を守る必要があること(=オンライン受付が締切日に本当に締め切られること)が多いです。

注意:公募情報は公募のタイトルと中身が違うことが時々あります。

ありがちなケース1
政策系の大学院(Policy Schools)はなぜか公募の分野欄に国際経済学での募集と銘打ちたがります。が、公募の中身をよく読むと国際経済学に関係なかったりすることがよくあります。

ありがちなケース2
Microeconomicsという分野名を聞くとミクロ理論(意思決定理論、ゲーム理論)を想像させられますが、公募の中身は応用ミクロ(労働、医療、 教育、財政など)もしくはマクロ以外ならなんでもあり、というものが時々あるようです。

(3)アドバイザーによる応募校 へのコンタクト

アドバイザーによっては出願先に個別にコンタクトを取ってくれたりします。私のメイン・アドバイザーはコンタクトして欲しい大学50大学の大学名と公募分野と連絡先を私に提出させました(そのうちどれくらいの大学に実際にコンタクトをしたのかは知りませんが)。どのタイミングが最適と考えるかは人によって違うようです。私のメイン・アドバイザーはサンクスギビング 明け直後がベストだと考えていたようです。理由はその前だとまだ実質的な選考が始まっていない可能性が高くて(それに私の場合は書類がついていない可能性 も高かった...)、それ以降だと誰を面接するかだいたい決まった後のコンタクトは、この時期にアドバイザーに頼る必要がある→順調でないなこいつ→うちもやめとこ、と思われて逆効果の可能性が高いからだというもののようです。ただ、そうでないと思う先生もたくさんいるようです。

Solicitation

時々、「うちに応募してください」とのお誘いが来ます。上位校は各大学院の就職活動担当委員会(placement committee)の教授に誰がお勧めの学生か聞いて、そこで名前が出た学生に直接応募を求めて、そうした学生を重点的に選考するようです。そういう上位校からはsolicitされませんでしたが、placement committee以外の経路からもsolicitationをすることはあるようで、何校か来ました。placement committee委員長の某教授は「時々solicitationが来る」って言ったら驚いてやがったので学部からはあまりお勧めの学生でなかったようです。こういう 学生ほど、メインアドバイザーの応募校へのコンタクトというのは重要になってくると思います。

ちなみにSolicitationは私の場合は、
11月は5件(3件面接に)
12月は2件(2件面接に)
あってかなりの確率で面接につながりましたが、一概にそうなるとは言えないようです。



2008年12月:AEA面接準備

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時系列順まとめ5:2008年12月(AEA面接準備)

この頃、出願作業が一段落し、AEA面接の連絡をひたすら待っていました。

12月1日:どこからも連絡がないんじゃないかと不安になる。
12月2日:最初の大学から面接の連絡。
12月3日:こことしか面接がないんじゃないかと不安になる。
12月5日:2つ目の大学から面接の連絡。
12月6日:面接が2つしかないんじゃないかと不安になる。
(中略)
12月14日:面接が9つしかないんじゃないかと不安になる。
12月15日:10個目の大学から面接の連絡が来てひとまず、数についての心配を止める。
以下12月23日まで断続的に計17個の面接と1個のミーティング(募集のカテゴリーに入らないから採用はできないけど今後のために研究の話は聞きたいと いう依頼)が入りました。
コロンビア大学のほかの人たちはだいたい12-25個くらいの面接数があったようです。

私の周辺でよく言われていたのは、経験的にAEA面接からフライアウトにいたるのが3つに1つ、フライアウトからオファーにいたるのが同じく3つに1つ、ということでした。というわけで10個以上になって頃から先生たちも安心してきたように見えました。

実際にはこれからが大変なのですが。


AEA Meetingは3日間あって、その前日を含めた4日間に面接を入れます。
面接のスケジューリングに関してよく言われる助言としては
・同じホテル内なら15分、違うホテルなら30分は面接と面接の間に時間をおくべき。
・最初の数面接は自分にとって重要な大学でない大学にする。(練習用)
・重要な面接を夕方の方にいれない。(自分も向こうも疲れています。)
・最重要な面接(dream interview)は2日目の朝がいい。(練習も積んでいて、疲れもない)
ということがあります。

結果的には最初の助言以外はあまり守れませんでしたが。2日目の朝をdream interviewのために空けておいたら、そんなものは来ずに2日目の朝がいちばんすかすかしてましたが。夢高すぎ。

(2番目のインタビューオファーがけっこういい大学からだったので、それ以上の大学から来るかもと淡いいい希望を抱いていたのでした。)

上の助言どおりにスケジュールを組むためには、スケジューリングの際に相手の提示してきた日程をそのまま受諾せずに相当アグレッシブに交渉する必要があるのではないかと思います。あと、面接のスケジューリング自体は事務の人が やっている場合があって、学部側の選好と関係なく、早く返事した候補者順にスケジュールを埋めていくことがあります。でき るだけ早くレスしたほうがいいかもしれません。

12月は、メールを毎分チェックするのと並行してAEAでの面接の準備をしました。

面接準備について

AEAでの面接は主に30-40分で、内容は主に以下の通りです。

(1)ジョブマーケットペーパーの説明と質疑応答
(2)その他に自分が書いた論文(もしあれば)の説明
(3)将来の研究計画の説明
(4)(場合によって)どの科目を教えられるか、教えたいかについての説明
(5)(場合によって)向こうの大学側のアピールトーク
(6)その他の諸々な質問(地理的な選好はあるか、なぜ応募したか、など)
(7)こちらからの質問

最重要なのは(1)です。従って準備も当初は多くの時間を(1)の準備にあてます。でも、(3)も重要です。

ジョブマーケットペーパーの説明と質疑応答に関しては、重要なことは、相手に絶対わかって欲しい重要なポイントを強調して繰り返して繰り返して言うことだと思います。
とりあえず、準備を時系列で見ていきましょう。

先生たちとの模擬面接につ いて

12月初旬に経済学部が練習用に模擬面接を用意してくれました。私の場合は、自分の専門外の先生2人が面接してくれました。

その経済学部公式の模擬面接では、
私たちが意図的に話題をそらそう としたのに対して簡単に話題をそらされていつのまにかジョブマーケット ペーパーの説明が終わってしまっていた。もともと言いたかったことを言えなかった印象を受けた。まだまだ修行が足りない。」
という趣旨のことを言われました。

言いたいことを絶対言う必要があるんだなと思いました。
その次に指導教官の1人に面接の練習をさせてもらいました。そこでは、

俺が意図的に話題をそらそうとし たのに対して、話題をそらされまいとするのが露骨だった。もともと言い たかったことは相手を無視してでも言うぞという印象を受けた。面接ではどれだけ即興で考えられるか(think on your feet)を見たいので、こいつは自分の台本どおりしかできないのかと思われるのはまずい。まだまだ修行が足りない。」
という趣旨のことを言われました。

みなさん実に教育的なことで。
(本当に感謝してます。マジで。)

言いたいことを自然な流れで絶対言う必要があるんだなと思いました。 「じゃあ、ある話題についての話が終わってないのに他の話題に移られようとしたらどうしたらいいのか?」と聞いたところ、「「この話題でまだ言いたいこと は残っていますが、そちらの話題に移りますか?ジョブマーケットペーパーの残りの話は後で戻ってきてもいいですよ。」と言って相手に決めさせろ。説明を続 けさせてくれるか、他の話題になっても戻ってきやすくなるから。」と言われました。

まあ、自分の論文で一番重要なメッセージは先手必勝で質問が来る前(だいたい開始後1分前)に言ってしまうのがいいと思いますが。(ただし、これは研究のモチベーションがどれほど他分野の人に伝わりやすいかによるかも知れません。)

他の先生たちと練習をさせてもらったときは、
「自分の本当に重要な結果を話している時間が物理的に短すぎる。」
「自分にとって重要なことはゆっくりと大声で話すべき。」
「Transition(話題間の移行)を強調して、相手に今自分が何を話しているのかをわかるようにす るべき。」
「言う必要があることをいくつかのブロックにわけておいて、いろいろな順序で全部言えるようにしておくべき」
と言った助言を受けました。

友人たちとの練習について

並行して友人たちともできる限りたくさん練習しました。
よかったのは、
(a)よく質問されること(FAQ)がわかったこと。
(b)強くサポートできない点で議論を泥沼化させずにとっとと議論を切り上げることを学んだこと。
(c)ある友人がレコーダーを持ってきてくれて練習を録音してくれたのを聞いて、すごく危機感をもったこと。特に自分の英語のぼそぼそ具合に。その後、自分でも録音、録画してくせを自分で直すようにしました。あまり直らならかったと思いますが。
(d)練習相手に自分のスピーチを要約してもらう、ということをやったところ最初、びっ くりするほど自分の話が伝わっていないことに危機感を持ったこと。 それが起きる一番の理由は大事なことを一度しか言っていなくて、その瞬間を相手が聞き逃すということが起きるから。あと、一番大事なことが単純なことで、 それ以外のことが複雑なことだと、物理的に一番大事なことを話している時間が短くなってやはり聞き逃されてしまうことが起きるから。だから大事なことは何度でも言いましょう。大事なことは強調しましょう。大事なことは何度でも言いましょう。大事なことな ので(略))あと、前述のように、一番重要なことはできるだけ早め、最初の1分で言ってしまいましょう(ただし、これについては異論あり)。

これらの練習で絶対に言及すべき点は、順番は質問の流れに応じて臨機応変に変えながら、特に重要なことには数回さりげなく触れつつ、確実に言えるように なって きました。

まとめ
大事なことは強調しながら、自然な流れで、しかし断固として言う。
特に大事なことは聞かれてないリスクを減らすべく強調しつつ数回言っておく。
練習は大事。
録音・録画は大事。
人からの率直なフィードバックは大事。

これだけ言うとたくさん準備したかに見えますが本腰を入れ始めたのは面接予約が10個を越えた12月中旬以降です。それまではずっと「面接n個しかなかったらどうしよう」とくよくよしてました。面接数は本当に精神衛生と練習意欲に影響します。

(3)の長期計画については、自分のジョブマーケットペーパー、その他の論文(書いたもの、書こうとしているもの)に共通する強みは何かを考えて、それを 売り出すのが1つの方法かと。この点はマーケティングの本やブランディングの本を参考に考えました。あと、就職後数年たった先生が時々Research StatementをHPに載せていることがあるので、それらをみて、彼らが自分の研究をどのように売り出そうとしているのかを学ぶのもいいかもしれません。

(6)のその他の質問のうち、「なぜうちの大学に来たいの?」という質問にうまく答えられるかはけっこう重要だと個人的に思います。これは、他大学の先生と話した時に「面接に呼ぶからには、もうかなりの程度の質は備えているものだと大学側にも思われているし、論文のアピールで失敗することはあまり多くない。むしろ大学が気にするのは自分の大学との相性のよさだ。」と言われたからなのですが。そこで、各大学ごとに、自分がどうすれば、その大学との相性がいいのかをアピールできるか考えました。 この作業のおかげで、自分の選好もよりよく理解できるようになりました。相性がいいと思う理由がたくさん見つかる大学ほど自分にとってもいいわけですか ら。

(7)のこちらからする質問については、先生間でも質問するべきじゃないよ派と質問するべきだよ派の対立があることを記しておきます。質問するべきじゃな いよ派の意見としては、(a)Webページを みればすぐわかるような単純な質問だと、準備(意欲)不足を露呈することになる、(b)答えが自明でない質問はネガティブな答えが返ってきて面接 を気まずい雰囲気で終わる危険性がある、というものでした。それに対し、質問するべきだよ派は、質問しないと準備(意欲)不足だと思われると言っていました。私がどうしたかは覚えてません。それまでにアピールしてなかったことがあったらそれを引き出せるような質問をしようとしたような気がします。

おまけ

私は人(特に非日本人)の顔を覚えるのが超苦手なので、面接をしてくる先生たちの顔写真をプリントアウトし て各人ごとに顔と名前と分野 と代表論文(特に自分との関連分野だった場合)の内容を一枚にまとめて、覚えられるように見返していました。周りからは「やりすぎだ」と笑われましたが、 そして、周りはそんなことやらずに普通に成功していましたが、自分的にはこれはやってよかったと思います。フライアウトの際にも役に立ちました。まあ、面接相手に面接前日に通りすがった際に挨拶してしまって怪訝な顔をされたわけですが orz あと、ここまでしても帰りの空港で面接された覚えのある人にばったり会った時に名前が出てきませんでしたがorz
時系列順まとめ6:2009年1月(AEA面接、フライアウト準備)

1月1日:AEAミーティング2009年の開催地であるサンフランシスコに移動
1月2日:会場視察
1月3日:面接×6
1月4日:面接×6、ミーティング×1
1月5日:面接×4 同じ大学の学生とサンフランシスコ探索後、深夜の飛行機でNYに戻る
1月6日:爆睡
1月7日:ニューヨーク市内で某大学の面接(近かったのでサンフランシスコでなく現地でやることに)
1月下旬:ある大学と電話面接

AEAはひたすら疲れました。が、数日間で役に立つコメントをたくさんもらえたのがよかったです。
自分の分野で第一人者になりつつあり、かつ質問が厳しいことに定評のある、 ある先生に面接時間が終わるのもお構いなく55分ずっと(まさに小一時間w) 問い詰められつつも、今後の自分の分野の研究の方向性の話で盛り上がったたのがハイライトですかね(遠い目)。
まあそのせいで次の面接場所までダッシュするはめになりましたが。

この大学からは私のスケジュールの問い合わせが来たものの結局フライアウトに呼ばれず(涙)...

サンフランシスコ滞在中毎日、夕方にはかなり疲れてたし、 最終日にいたっては疲れが抜けず朝からかなりぐったりしていたので、 (最終日の朝一番の面接が一番ぐだぐだだったと思います。)
もっと体を鍛えておけばよかったなあと心から思いました。

面接での失敗談

disclosure code(面接場所を知るための暗号)の書き写しのミスで違う場所に行ってしまい、
結果として20分の遅刻(面接時間は30分)をやらかしたのが1ヶ所ありました。 幸い、その大学にとってその日の最後の面接だったらしく、後がつかえていなかったので、 面接を普通に受けさせてもらえました。大遅刻したにも関わらず終始なごやかに 応対してくださった面接官の方たちにはとても感謝しています。 フライアウトには呼ばれませんでしたが。

遅刻については、エレベータの混雑+不具合(特別な階でもないのに断固として面接場所の階に止まってくれなかった)によって3分の遅刻+階段ダッシュのた め汗だくだく状態で面接、というのもありました。この面接は狭い部屋で男性面接官7人に210度くらいの角度で囲まれて怖かったのも印象深いで す。結局就職先はここになったのですが。

面接では、相手に取り入ろうとして、相手の機関で魅力的なところだと思ったところを言ったら、「それ(orその研究者)はうちの部署じゃない。」 と 地雷を踏んだことが2回ありました。両方とも政策系大学院でした。偶然かもしれませんが、政策系大学院は同じ経済系でも部署(国際経済系、 公共経済系など)がはっきり分かれていて部署間の壁が 大きいかもしれません。事前にもっと調べておくべきでした。ちなみにある別の大学の政策系大学院のインタビューを受ける際にあたって、その大学に通ってい る友達に話を聞いたら「経済学部と仲がいいか聞いちゃだめだよ。」 と言われたことがあります。

面接結果

AEAで面接を受けた大学のうちフライアウトの誘いがきたのは5校でした。
AEAで面接を受けなかった大学から2校直接フライアウトの誘いが来ました。

ここで、大学を英語圏、非英語圏に分けてみてみると...

AEA で面接を受けた英語圏の大学の数  13
そのうちフライアウト(最終面接)の誘いが来た英語圏の大学の数 1

AEAで面接を受けた非英語圏の大学の数    5
そのうちフライアウト(最終面接)の誘いが来た非英語圏の大学の数 4

結論:英語圏の大学は人の研究を聞かず英語だけで判断するろくでもないところ、は言わないませんが、英語圏の大学で面接を突破するには、英語力、というよりは、
プ ロフェッショナルな場でアングロサクソンなノリでコミュニケーションをとる能力、というべきでしょうか。

(英語圏の大学が非英語圏の大学より一般にレベル、難易度が高かっただけではという疑問があるかも知れませんが、私が面接を受けた範囲では非英語圏と英語圏で確かに英語圏の方が若干いい大学が多かったもののそこまで大学のレベルに差はないと思います。)

前年の9月に、ジョブマーケットに出ることに反対してきた先生がいたことを書きましたが、その理由が、

(1)研究能力だけで就職できるのはトップ20までだが、そこまで私の研究はよくない。
(2)トップ20以下は英語力が必須だが、そこまで私の英語力はない。

というものでしたが、英語圏に限り正しかったと言わざるを得ません。
(推薦状にそう書かれたからそういう結果が実現したのではないか、という疑問があるかもしれませんが、この先生は推薦者に入っていません。
入れねえよ。)

学会の帰り、たまたまメイン・アドバイザーと同じ便でニューヨークの家までの帰り道一緒のタクシーだったのですが、彼が「今の経済学界はスピーキング能力が重視されすぎていると思う。スピーキング能力のなさで研究が正当に評価されないことがかなりある。」と力説していて、そのときは「ふーん」と思っていたのですが、あれ俺のことを話してたんですね(涙)。

というわけで英語は重要です。英語圏に就職したいなら普段からなんとかすべきでしょう。具体的にどうすればいいのか はわからないけど。ちなみに非帰国子女なのに周り (アメリカ人含む)から「あいつは文化的にはアメリカ人」だと言われてた日本人同級生Sによるとアメリカのホームドラマを 見まくって、会話のノリ、ジョークなどを徹底的に研究したのだとか。
 

そういうことをせずにジョブマーケットに来てしまった場合あとは研究の話をノリはアメリカ人的でなくてもしっ かりできるようにするしかないわけですが、何回か書きましたが経験と練習が重要なの で、行く気があろうがあるまいが、できるだけたくさんの大学に応募するべき、と個人的に思います。それはともかく、大学院生側から見た、たくさん応募すべき理由を 列挙します。

-面接、フライアウトは経験が重要なので、できるだけ多くの場数を踏めるように。
 (本命が最初にこないように。後述しますが最初はコケます(経験者談)。まあフライアウトは
 研究ランクが高い大学ほど早い時期に行う傾向があるので、本命が しょっぱなに来てしまい
 がちなのですが。)
- 自分の研究への何らかのフィードバックが得られる。
 (もともとあまり行く気がなかった大学の先生がAEAの面接で一番想定外な質問をしてきて、
 その後、その質問について考えたことがあったのがフライアウトで役に立ちました。あとその
 大学の先生が新しい論文で自分のジョブマーケットペーパーを引用してくれてたよ!)
-面接、フライアウトの数は精神衛生、ひいては面接、フライアウトの準備意欲に大きな影響を 与える。

-最後に、もともと行く気がなかったところも話を聞いてみると意外と魅力的かもしれない。
 (というか、就職活動前に聞いたことのなかった大学でもいい大学はけっこうあります。
  大学院生が聞いたことのある大学の数なんてたかが知れてますので、
  聞いたことのない大学だから応募しないというのはおすすめしません。
  これはけっこう後悔しているところ。)

あと、経験という意味では、民間企業、NGO向けの就職活動もやっておけばよかったと思っています。

1月はだらだら。。。

一度1月26日にフライアウトの予約が入りかけたのですが、向こうの大学側の事情で2月9日になったので、結局1月はフライアウトはありませんでした。1 月はけっこうだらだらしてしまいました。。。
これは当然すごく後悔しています。
時系列順まとめ7:2009年2・3月(フライアウト-オファー)

(1)フライアウト

2月8-10日:米国C大学にフライアウト(研究報告は9日)

2月15日:欧州に飛ぶ
2月16日:I大学にフライアウト
2月17日:電車で国際間都市移動
2月18日:1日休み
2月19日:G大学にフライアウト
2月20日:米国に戻る。

2月23-25日:ITAMにフライアウト

一般にフライアウトでは大学のキャンパスに直接招待され、研究報告を行い、その大学の先生との個別面談をたくさんこなします。そして昼食、夕食もごちそう になります(ふるまいはチェックされます。)
C大学では1日半に18人の先生との個別面談がありました。 1月のサンフランシスコの学会では3日間で18個の面接だったので、その2倍の強度(+研究発表)です。さらにサンフランシスコでは面接の内容がある程度 定型的なのに対して、先生との個別面談だと話す内容が各先生ごと全然違うので疲労度も全然違います。 (飽きないというメリットはあるかもしれませんが。) まあそんなわけでとてもとてもとても疲れました。ちなみに欧州の大学では先生との個別面談を設けない大学もあるようです(というか、私が フライアウトしたところは2つともありませんでした)。個人面談があまりスケジュー ルされていなくても嫌われているわけではありません(多分)。

理想的には個人面談や昼食、夕食で会う先生の主要業績、最新の論文についてコメントや質問を事前に準備できればいいと思います。...分野が違うとなかなか難 しいですが...あと、研究外の話をどれだけ楽しくできるかも重要なので、とにかく会話の糸口を探すためにWebに載っている情報はフルに活用すべきだと思い ます。

C大学はもともと他に2人いわゆるスターをフライアウトを呼んでいて、私はスペック的に大穴候補だったようで向こうの態度もそんな感じでしたが、残りの3つの大学では、オファーを前提 にした質問、議論が多かったように思います。オファーを出した時に私が真剣に検討するかどうかもかなり気にしていたようです。向こうがこちらの真剣度について不安に思う要素(主に地理的選好要因)があるのであれば、そこのフォローの準備、あるいはぼろを出さない心の準備が必要かと。

ヨーロッパのG大学では、AEA面接時、フライアウトでの夕食時、研究報告本番直後、その後の学部長の面接、昼食時、とありとあらゆる機会に「お前はヨーロッパに来る気はあるのか?」と聞かれました。


研究発表について

研究発表の出来としては最初に最終面接にいったC大学が 最悪で、次からは劇的によくなった気がします。 C大学は直前にスライドを変えたりしてて、イントロのスライドすら、スライドを見ないと話せないくらい準備不足でした。2度目の発表からはあわてて練習したのと、慣れて来たのとでかなりいい雰囲気でセミナー進行ができたように思います。

研究発表のイントロとFuture researchのスライドはフライアウト先の大学ごとに、公募分野と観衆(の中の有力者)の興味に応じて変えました。自分の論文と関連する研究をしてい る人が聴衆にいる場合、その人の論文をスライドで引用することは当然として、その人が自分の研究のどんな点に疑問、不満を持つか、どういう言い方をしたら その人が納得するかも注意して考えた方がいいです。ジョブトークの時に、自分が引用した論文の著者から受けた質問とその答えに対して、「普通の受け答えと しては完璧だったが、彼がすんなり理解、納得できる答え方ではなかった。」という趣旨のコメントを第三者からもらいました。京極さんには四万十川の鮎を食わせろという話ですね。わかります。

各大学に応じて微調整する前のイントロのスライドは指導教授ほか計5人の先生にみてもらいました。本来ならば10月の学内のセミナーの際にできているべき ものですが、セミナーやAEAのフィードバックを受けてけっこう構成を改善したので...ここでも、ぶっちゃけたフィードバックは重要です。

セミナーで拍手が起こるかどうかはその大学の慣習しだいであって、おそらく、セミナーの出来とは関係ありません。私の経験に限れば、拍手の有無とオファーの有無の相関係数は-1です。拍手をする文化圏の大学出身 の学生はフライアウトで拍手がなくても落ち込まないように...

その他アドバイス

違う大陸へのフライアウトでは電源プラグを忘れずに空港で買うようにしましょう。そして、それをホテルに忘れないようにしましょう(orz)。

ヨーロッパの都市は駅周辺が治安が悪いことがあるので、ホテルが駅周辺の場合は気をつけましょう。某都市でスリにあいかけました。

フライアウト先、旅行中での食べ物には普段より気を使いましょう。アレルギー体質の人は、アレルギーを引き起こす危険性のあるものは避けた方が無難かと。 フライアウト先のある都市で夜食にかに玉を食べたのですが、数ヵ月後、NYでかに玉でアレルギー症状を引き起こしました。フライアウトの時でなくてよかったと思ったのはいうまでもありません。

一度の旅行でフライアウトを2ヶ所以上行う場合は、クリーニング・サービスを使いたい状況が出てくることもありますが、ホテルにそういうサービスがなかったり、アイロンを借りるタイミングがなかなかないこともあります。↓はクリーニング屋の世界的なチェーンのウェブサイトです。(サイトは音が出ます。)

http://www.5asec.com/

最後に、フライアウト中にオファーを匂わせる言動がでてきますが、あまり真に受けずに。

(2)オファー

2月下旬:C大学から不採用のメール
2月26日:ITAMから採用オファーメール
2月下旬:I大学から不採用のメール(ITAMのオファーを知らせるメールに対して)
3月X日:G大学から次点だったこと、しかし第一候補がオファーを受諾したこと(=不採用)の通知。ITAMにオファー受諾の条件を提示。
3月Y日:交渉成立。

ITAMとG大学はそれぞれ全然違ったよさがあり、相当程度、狸の皮算用で悩みました。まあ、不採用通知で就職活動が事実上終わりを告げたというのが微妙といえば微妙な点でした。

(3)おまけ
最後のフライアウト先であるITAMでの研究報告中に、フロアから、

"Is this a trade paper?"

という質問を受けました。ジョブマーケットに出る前からあった分野選択の問題が最後の最後でまた出てきたのでした。

(ITAMは公募分野が何でも(Any)と書かれていながら、実際は分野枠があるケース(よくある)で、私は国際貿易枠で呼ばれていたので、ここに答えられていなかったら実はやばかったという話も。さすがに答えられないということはありえないけど。)

全体を振り返って...

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全体的な感想

ジョブマーケットで就職したい大学に就職するには、

(0)ジョブマーケットペーパーの質が当然最重要のことながら...

(1)アドバイザーのサポートが不可欠

-論文、スライド、研究報告、面接準備についてのフィードバック
-応募先大学へのプッシュ
-その他すべての段階でのサポート

私のメイン・アドバイザーに関して言えば、すべての点で最高だったと思います。

ちなみに、過去の私の大学出身の学生を見ていると、ジョブマーケットペーパーのタイプによってはどれだけ指導教授がサポートしてくれてもうまく行かないケースがあるケースもあるようです。まず、その指導教授が 自分のジョブマーケットペーパーの論文の分野の専門家とみなされていない場合です。指導教授の守備範囲が広いと、例え彼(女)がある分野で論文を書いたことがあって 指導能力がある場合でも必ずしもその分野の専門家とみなされていないことがありえます。あと、あまり自信はありませんが、ジョブマーケットペーパーのテーマが流行に乗っ ていない場合も不利があるように思います。私のメインの指導教官はジョブマーケットに出る以前からそこらへんの戦略的なことも含めて効果的な助言をくれたと思います。

(2)英米圏の大学に関してはコミュニケーション能力が超重要

Orz

(3)面接準備、研究報告準備に関しては、たくさんの練習、フィードバックが不可欠

12月の面接準備は自分では頑張った方ですが、1月はだめでした...

あと、その他思ったことは、

(4)一度ジョブマーケットに出ることを決めた後は、自分ではコントロールできない要因がたくさん

その年の全体的な研究者需要、専門分野の研究者需要、同じ分野で自分より強力な学生の数、自分の論文のタイプ(理論か実 証かなど)、トピックがどれだけ流行に乗っているか、指導教官のサポートなど

(5)精神的・体力的に大変

ベッドから出たくなかったことがこれまで以上に何度も。

(6)いいこともたくさんある。

特に、面接やフライアウトで専門分野、専門分野外の研究者が自分の話を真剣に聞いてくれて、批判、感想、提案をくれたり、議論したり、ときには分野の動向、研究に対する考え方のようなものを議論できたりするのはとても刺激になりました。そういう、ジョブマーケットの新人顔見世興行みたいな側面はとてもよかったと思います。あと、この1年は指導教官たちがこれまで以上にガチンコにダメ出しし てくれたので、とても勉強になりました。あと、面接やフライアウトでは研究内容紹介や研究報告や学者同士の交流という研究活動の大きな側面を体験するわけですが、それをアドバイザーや友人からフィードバックを得ながらできたというのは、今後の研究活動に向けてとてもいい糧になったのではないかと思います。


そこから逆算するとこれからジョブマーケットに出る可能性がある人にとって薦めることがあるとしたら、

ジョブマーケットに出る前にやるべきこと

-いい論文を書く。
-サポートしてくれそうなアドバイザーにつく。
-英語力をあげる。
-体力をつける。
-自分の論文とアドバイザーのマッチがいいかどうか周りの意見を聞く。
-複数分野にまたがる場合、どの分野で就職活動するのがいいか周りの意見を聞く。

ジョブマーケット中に(も)やること

-ひたすら練習
-できるだけ率直なフィードバックを得る

という感じなのではないでしょうか。